葦原中國平定②|天若日子の死

2019年9月4日

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殺された雉の鳴女

現代語

天若日子がなかなか戻ってこないので、天照大御神と高御産巣日神は、また神々に問います。

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天若日子も長い間帰ってこないぞよ。どうして帰ってこないのだ。
どの神を遣わして天若日子が帰ってこない理由を尋ねさせたらよいか。答えよ。

神々や思兼神が答えました。

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雉の鳴女を遣わすのはいかがでしょう。
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雉の鳴女よ。
天若日子に、『お前を葦原中国に遣わした理由は、その国の荒ぶる神どもを説得させ従わせるためなのに。何故、八年経っても帰ってこないのか?』と、訊ねて参れ。

雉の鳴女が天から降りていき、天若日子の家の門のよく茂った楓の小枝に留まって、天神の言葉の通り正確に伝えました。

すると、この鳥の言葉を聞いた天佐具賣(アマノサグメ)が、天若日子に言いました。

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この鳥の鳴き声はとても不吉ですから、射殺してくださいな。

天若日子は、あろうことか天神から授かった天之波士弓と天之加久矢でもって、雉を射殺してしまったのです。

その矢は雉の胸を貫いて天上まで上がり、天安河(あめのやすのかは)の河原におられた天照大御神と高木神(タカキのかみ)の所にまで届きました。

ちなみに、この高木神とは高御産巣日神の亦の名です。

原文

故爾、天照大御神・高御產巢日神、亦問諸神等「天若日子、久不復奏。又遣曷神以問天若日子之淹留所由。」於是諸神及思金神、答白「可遣雉名鳴女」時、詔之「汝、行問天若日子狀者、汝所以使葦原中國者、言趣和其國之荒振神等之者也、何至于八年不復奏。」

故爾鳴女、自天降到、居天若日子之門湯津楓上而、言委曲如天神之詔命。爾天佐具賣此三字以音聞此鳥言而、語天若日子言「此鳥者、其鳴音甚惡。故、可射殺。」云進、卽天若日子、持天神所賜天之波士弓・天之加久矢、射殺其雉。爾其矢、自雉胸通而、逆射上、逮坐天安河之河原、天照大御神・高木神之御所。是高木神者、高御產巢日神之別名。

簡単な解説

またしても失敗です。そろそろ堪忍袋の緒が切れそうですね。

さて、ここにきて、高御産巣日神の別名として高木神が紹介されています。

造化の三神として登場してから、長らく姿を隠していましたが、ここに来ていきなり参謀のような振る舞い。

もともとは、別々の神であったように感じます。

天若日子、誓約で死す

高木神が、その矢を取って見てみると、血が矢羽に着いていました。

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この矢は天若日子に授けた矢ではないか、、、もしや、、、

と仰せられ、その矢を高々と差し上げて神々に見せ、誓約をしました。

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もし、天若日子が勅命に背かず、悪い神を射た矢がここに届いたのであれば、天若日子に当たらない。
しかし、邪心があるのであれば、天若日子はこの矢によって死ね。。。

言うが早いか、その矢を矢が開けた穴から下に投げ返されました。

矢は、朝の床で寝ていた天若日子の盛り上がった胸に当たり、天若日子は死んでしまいました。

原文

故、高木神、取其矢見者、血著其矢羽。於是、高木神告之「此矢者、所賜天若日子之矢。」卽示諸神等、詔者「或天若日子、不誤命、爲射惡神之矢之至者、不中天若日子。或有邪心者、天若日子、於此矢麻賀禮此三字以音。」云而、取其矢、自其矢穴衝返下者、中天若日子寢朝床之高胸坂以死。此還矢之本也。亦其雉不還、故於今諺曰「雉之頓使」是也。

簡単な解説

これが本来の誓約です。

ある事柄(この場合なら、天若日子に邪心があるか否か)について、『そうならばこうなる、そうでないならば、こうなる』とあらかじめ宣言して、そのどちらが起こるかによって判断する方法を誓約といいます。

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