天照大御神と須佐之男命④|岩戸隠れ神話は、祭りの原型

2019年9月4日

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岩戸隠れ

現代語

事ここに至り、天照大御神は堪忍袋の緒が切れました。天石屋戸を開けて、中に籠もってしまいます。

ですから、高天原すべてが暗闇となり、葦原中國もことごとく闇となりました。その為、ずっと夜が続きました。そして、あらゆる神の声が騒々しい蝿のように満ち溢れ、あらゆる災が巻き起こりました。

この事態を打開しようと、八百萬神が天安之河原にぞくぞくと集まり、高御産巣日神の子の思金神(オモヒカネの神)に対策を考えさせました。

考えだした対策とは、、、

まずは、常世の長鳴鳥を集めて鳴かせます。

天安河の川上にある天堅石(あめのかたいは)をとってきて、

天金山(あめのかなやま)の鉄を取り出します。

そして、鍛冶の天津麻羅(アマツマラ)を探してきて、

伊斯許理度賣命(イシゴリドメの命)に命じて鏡を作らせました。

そして、玉祖命(タマノオヤの命)に命じて、

八尺勾玉(やさかのまがたま)のたくさん連なった玉の緒を作らせました。

また、天兒屋命(アメノコヤネの命)と布刀玉命(フトタマの命)を呼び出して、

天香山(あめのかぐやま)の雄鹿の肩の骨を抜き、

天香山の天之波波迦(あめのははか)の木をとってきて、

その雄鹿の肩を波波迦(ははか)で焼いて太占をさせました。

 

また、天香山の五百津眞賢木(いほつ まさかき)を根こそぎ掘り出して、

上の枝には八尺勾玉(やさかのまがたま)のたくさん連なった玉の緒で飾り、

中の枝は八尺鏡(やあたのかがみ)で飾り、

麻や楮の皮を晒したものなどで飾り付けました。

布刀玉命がこの飾り付けた賢木を捧げ持ち、天兒屋命が厳かな祝詞を唱え、天手力男神(アメノタヂカラヲの神)が岩屋戸の脇に隠れます。

これで準備が整いました。

いよいよ、作戦開始です。

 

天宇受賣命(アメノウヅメの命)の登場です。

天宇受賣命は、天香山の天之日影(あめのひかげ)を襷(たすき)に掛け、

天之真拆(あめのまさき)を縵(髪飾り)にして、

天香山の小竹葉(ささのは)を束ねて持ち、

天之石屋戸の前に伏せて置いた桶を、両足で踏み轟かせて舞いました。

舞い踊っているあいだに神懸(かむかがり)して、

胸乳をさらけ出し、裳緒を陰(ほと)の前に垂らして、

激しく艶めかしく踊りました。

これには、高天原がどよめき、八百萬神は、みなが笑い面白がりました。

原本

故於是、天照大御神見畏、開天石屋戸而、刺許母理此三字以音坐也。爾高天原皆暗、葦原中國悉闇、因此而常夜往。於是萬神之聲者、狹蠅那須此二字以音滿、萬妖悉發。是以八百萬神、於天安之河原、神集集而訓集云都度比、高御產巢日神之子・思金神令思訓金云加尼而、集常世長鳴鳥、令鳴而、取天安河之河上之天堅石、取天金山之鐵而、求鍛人天津麻羅而麻羅二字以音、科伊斯許理度賣命自伊下六字以音、令作鏡、科玉祖命、令作八尺勾璁之五百津之御須麻流之珠而、召天兒屋命・布刀玉命布刀二字以音、下效此而、內拔天香山之眞男鹿之肩拔而、取天香山之天之波波迦此三字以音、木名而、令占合麻迦那波而自麻下四字以音、天香山之五百津眞賢木矣、根許士爾許士而自許下五字以音、 於上枝、取著八尺勾璁之五百津之御須麻流之玉、於中枝、取繋八尺鏡訓八尺云八阿多、於下枝、取垂白丹寸手・青丹寸手而訓垂云志殿、此種種物者、布刀玉命・布刀御幣登取持而、天兒屋命、布刀詔戸言禱白而、天手力男神、隱立戸掖而、天宇受賣命、手次繋天香山之天之日影而、爲天之眞拆而、手草結天香山之小竹葉而訓小竹云佐佐、於天之石屋戸伏汙氣此二字以音蹈登杼呂許志此五字以音、爲神懸而、掛出胸乳、裳緖忍垂於番登也。爾高天原動而、八百萬神共咲。

簡単な解説

神祭りの原型

この岩戸の前で繰り広げられた一連の行為が、まさに古代の祭の姿なのです。

神籬を立て、鏡を置き、祝詞を奏上し、巫女が舞う。すると神様が神籬に降臨するという具合です。地鎮祭に近しいのもがありますね。

親衛隊の登場

ここで、天孫が地上に降臨する時に、一緒に地上に降りるメンバー、いわば親衛隊が登場してきます。これらの神々は覚えておいて下さいね。

思金神・伊斯許理度賣命・天兒屋命・布刀玉命・玉祖命・天手力男神・天宇受賣命ですよ。

天宇受売命

大活躍のこの女神に関してだけ、もうすこしお話しますと、、、

新嘗祭の前日、宮中では鎮魂祭(ちんこんさい・みたましずめ)という祭りが執り行われます。

その祭の一コマに「宇気槽の儀」という儀式がありまして、それは何かといいますと、宇気槽(うきふね、うけふね)と呼ばれる箱を伏せて置き、その上に女官が乗って桙で宇気槽の底を10回突くという儀式です。

天宇受売命が逆さの桶の上で、足を踏み鳴らして踊る仕草を再現したものらしいです。

この祭りの時期は、まさに冬至。日の力が一番弱まる日です。言い換えると、天皇の魂が弱まる日なのです。まるで岩戸隠れで暗闇になったのと似てますね。

そして、宇気槽に乗る女官というのが猿女君の女性から選ばれ、その猿目君という氏族は天宇受売命の末裔なのです。

いやいや、面白いですね。

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