伊邪那岐と伊邪那美⑥|火の神から現れた神々

2019年9月4日

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カグツチ斬られる

現代語

妻を失った伊邪那岐命は、

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愛しい妻を、たった一人の子をために失ってしまうなんて。。。残念でならない。

と仰せられ、枕元に這いつくばり、足元に這いつくばり、泣きに泣きました。

その涙から現れた神は、香具山の麓の小高い場所にある木の下にいらっしゃる泣澤女神(ナキサハメの神)です。

そして、伊邪那美命を出雲國と伯伎國の境にある比婆之山(ひばのやま)に葬りなさいました。

 

一段落ついた伊邪那岐命の気持ちは、妻を失った悲しみから、妻を死に追いやった迦具土命への怒りへと変わっていきます。

 

おもむろに腰の十拳剣(とつかのつるぎ)を抜くや否や、子の火之迦具土神の首をスパっと斬り落としました。

その時、切先についた血が、湯津岩村(ゆついわむら:神聖な岩群れ)に飛び散って現れた神の名は、

  • 石拆神(イハサクの神)
  • 根拆神(ネサクの神)
  • 石筒之男神(イハツツノヲの神)

次に、刀身についた血が、湯津岩村に飛び散って現れた神の名は、

  • 甕速日神(ミカハヤヒの神)
  • 樋速日神(ヒハヤヒの神)
  • 建御雷之男神(タケミカヅチノヲの神)

建御雷之男神の亦の名を建布都神(タケフツの神)、またの名を豐布都神(トヨフツの神)といいます。

次に、刀の柄に付いた血が、指の間から滴り落ちて現れた神の名は、

  • 闇淤加美神(クラオカミの神)
  • 闇御津羽神(クラミツハの神)

このように、石拆神から闇御津羽神までの合わせて八柱の神は、御剣によって現れた神です。

原本

故爾伊邪那岐命詔之「愛我那邇妹命乎那邇二字以音、下效此」謂「易子之一木乎」乃匍匐御枕方、匍匐御足方而哭時、於御淚所成神、坐香山之畝尾木本、名泣澤女神。故、其所神避之伊邪那美神者、葬出雲國與伯伎國堺比婆之山也。

於是伊邪那岐命、拔所御佩之十拳劒、斬其子迦具土神之頸。爾著其御刀前之血、走就湯津石村、所成神名、石拆神、次根拆神、次石筒之男神。三神次著御刀本血亦、走就湯津石村、所成神名、甕速日神、次樋速日神、次建御雷之男神、亦名建布都神布都二字以音、下效此、亦名豐布都神。三神次集御刀之手上血、自手俣漏出、所成神名訓漏云久伎、闇淤加美神淤以下三字以音、下效此、次闇御津羽神。

上件自石拆神以下、闇御津羽神以前、幷八神者、因御刀所生之神者也。

簡単な解説

伊邪那美が眠る「比婆之山」の伝承地は各地にありますが、現在有力な候補としては、島根県安来市にある「比婆山」です。

この山は、地磁気が逆だったころの火山活動でできた山で、いまも逆の地磁気を帯びているらしいです。パワースポットですね。

さて、迦具土命を斬った刀か血液から現れた神々を整理すると、

  • 石拆神(イハサクの神)
  • 根拆神(ネサクの神)
  • 石筒之男神(イハツツノヲの神)

この三柱は、石を砕いたり、根っこを取り除いたりという、開墾を連想される神名です。

  • 甕速日神(ミカハヤヒの神)
  • 樋速日神(ヒハヤヒの神)

この二柱は、甕(ミカ)は(カメ)ともいいます。つまり容器。

樋(ヒ)は(トイ)とも読みます。つまり水管。水路でしょうか。

  • 闇淤加美神(クラオカミの神)
  • 闇御津羽神(クラミツハの神)

この二柱は、水の神であるオカミとミツハノメの闇バージョン。だから水の神でしょう。

ここで、この一柱だけが浮いてしまいます。

  • 建御雷之男神(タケミカヅチノヲの神)

武の神、刀剣の神として有名です。出雲の国譲りでは、その武神たる強さを発揮しますから。

しかし、他の神々が農耕に関連する神々ですから、実は「タケミカヅチノヲ」も農耕の神だったのではないかと思いませんか?

無理やりにこじつけると、

ミカとツチは、甕と槌。日本書紀には武甕槌神と記されています。ですから、もともとは、甕槌神(ミカヅチの神)だったのではないでしょうか。というのが一案。

もうひとつは、雷は大雨が降る予兆。すなわち、農耕に欠かせない降雨をもたらす神として現れたのではないでしょうか。という案です。

カグツチから現れた神々

現代語

一方、斬られた火之迦具土神の体からも、神が現れました。

  • 頭から現れた神の名は、正鹿山津見神(マサカヤマツミの神)。
  • 次に胸から現れた神の名は、淤縢山津見神(オドヤマツミの神)。
  • 次に腹から現れた神の名は、奥山津見神(オクヤマツミの神)。
  • 次に陰部から現れた神の名は、闇山津見神(クラヤマツミの神)。
  • 次に左手から現れた神の名は、志藝山津見神(シギヤマツミの神)。
  • 次に右手から現れた神の名は、羽山津見神(ハヤマツミの神)。
  • 次に左足から現れた神の名は、原山津見神(ハラヤマツミの神)。
  • 次に右足から現れた神の名は、戸山津見神(トヤマツミの神)です。

正鹿山津見神より戸山津見神まで、合わせて八柱の神が出現しました。

ちなみに、火之迦具土神を斬った剣の名は、天之尾羽張(あめのをはばり)といいます。またの名を伊都之尾羽張(いつのをはばり)といいます。

原本

所殺迦具土神之於頭所成神名、正鹿山上津見神。次於胸所成神名、淤縢山津見神。淤縢二字以音。次於腹所成神名、奧山上津見神。次於陰所成神名、闇山津見神。次於左手所成神名、志藝山津見神。志藝二字以音。次於右手所成神名、羽山津見神。次於左足所成神名、原山津見神。次於右足所成神名、戸山津見神。自正鹿山津見神至戸山津見神、幷八神。故、所斬之刀名、謂天之尾羽張、亦名謂伊都之尾羽張。伊都二字以音。

 

簡単な解説

斬られた迦具土命から生まれた8柱の神々は、すべて山津見とあることから、山の神と解釈できます。

火の神から現れた山の神ですから、火山活動で生じた山をイメージしたものと考えられます。

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