伊邪那岐と伊邪那美⑧|禊祓で現れた祓戸の神々

2019年11月14日

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禊祓(みそぎはらえ)

現代語

伊邪那岐命は、黄泉の国から還ってきて、

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いやはや、随分と醜く汚らわしい国を訪れてしまったものだ。身の禊(みそぎ)をせねばなるまい。

と言って、竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小門(をと)の阿波岐(あはきのはら)に行って、禊祓(みそぎはらい)をしました。

まずは、汚れた衣服を脱ぎ棄てます。

この時、伊邪那岐命が投げ捨てた持ち物や衣服から神が現れました。

  • 杖からは、衝立船戸神(ツチタツフナトの神)
  • 帶からは、道之長乳齒神(チノナガチハの神)
  • 袋からは、時量師神(トキハカシの神)
  • 衣からは、和豆良比能宇斯能神(ワヅライノウシの神)
  • 褌からは、道俣神(チマタの神)
  • 冠からは、飽咋之宇斯能神(アキグヒウシの神)
  • 左手の腕輪からは、
    • 奧疎神(オキザカルの神)、
    • 奧津那藝佐毗古神(オキツナギサビコの神)、
    • 奧津甲斐辨羅神(オキツカヒベラの神)
  • 右手の手纒からは、
    • 邊疎神(ヘザカルの神)、
    • 邊津那藝佐毗古神(ヘツナギサビコの神)、
    • 邊津甲斐辨羅神(ヘツカヒベラの神)。

このように、船戸神より邊津甲斐辨羅神までの十二柱の神は、身に着けていた物を脱ぐことによって現れた神です。

 

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上の瀬は流れが速く、下の瀬の流れは弱い

と言って、最初に中の瀬に完全に身を沈ませて洗われた時に現れた神の名は、

  • 八十禍津日神(ヤソマガツヒの神)。
  • 大禍津日神(オホマガツヒの神)。

この二神は、あの穢らわしい黄泉の国の汚れによって現れた神です。

次に、その禍を直すために現れた神の名は、

  • 神直毗神(カムナホビの神)。
  • 大直毗神(オホナホビの神)。
  • 伊豆能賣神(イヅノメの神)。

合わせて、三柱の神が現れました。

次に、水底で洗った時に現れた神の名は、

  • 底津綿津見神(ソコツワタツミの神)
  • 次に底筒之男命(ソコツツノヲの命)

中程で洗った時に現れた神の名は、

  • 中津綿津見神(ナカツワタツミの神)
  • 次に中筒之男命(ナカツツノヲの命)

水面で洗った時に現れた神の名は、

  • 上津綿津見神(ウワツワタツミの神)
  • 次に上筒之男命(ウワツツノヲの命)。

 

この三柱の綿津見神(ワタツミの神)は、阿曇連等(あづみのむらじら)が祖神として斎き祀る神です。阿曇連等は、その綿津見神の子の宇都志日金拆命(ウツシヒカナサクの命)の子孫だからです。

そして、三柱の筒之男の神は、墨江の三前の大神、今の住吉三神です。

 

そして最後に、

  • 左の目を洗った時に、天照大御神(アマテラス大御神)
  • 次に、右の目を洗った時に、月讀命(ツクヨミの命)
  • 次に、鼻を洗った時に、建速須佐之男命(タケハヤ スサノヲの命)

が出現したのです。

 

この、八十禍津日神から速須佐之男命までの十四柱の神は、身を洗うことによって現れた神々です。

原文

是以、伊邪那伎大神詔「吾者到於伊那志許米上志許米岐此九字以音穢國而在祁理。此二字以音。故、吾者爲御身之禊」而、到坐竺紫日向之橘小門之阿波岐此三字以音原而、禊祓也。

故、於投棄御杖所成神名、衝立船戸神。次於投棄御帶所成神名、道之長乳齒神。次於投棄御囊所成神名、時量師神。次於投棄御衣所成神名、和豆良比能宇斯能神。此神名以音。次於投棄御褌所成神名、道俣神。次於投棄御冠所成神名、飽咋之宇斯能神。自宇以下三字以音。次於投棄左御手之手纒所成神名、奧疎神。訓奧云於伎。下效此。訓疎云奢加留。下效此。次奧津那藝佐毘古神。自那以下五字以音。下效此。次奧津甲斐辨羅神。自甲以下四字以音。下效此。次於投棄右御手之手纒所成神名、邊疎神。次邊津那藝佐毘古神。次邊津甲斐辨羅神。

右件自船戸神以下、邊津甲斐辨羅神以前、十二神者、因脱著身之物、所生神也。

於是詔之「上瀬者瀬速、下瀬者瀬弱。」而、初於中瀬墮迦豆伎而滌時、所成坐神名、八十禍津日神訓禍云摩賀、下效此。、次大禍津日神、此二神者、所到其穢繁國之時、因汚垢而所成神之者也。次爲直其禍而所成神名、神直毘神毘字以音、下效此、次大直毘神、次伊豆能賣神。幷三神也。伊以下四字以音。次於水底滌時、所成神名、底津綿上津見神、次底筒之男命。於中滌時、所成神名、中津綿上津見神、次中筒之男命。於水上滌時、所成神名、上津綿上津見神訓上云宇閇、次上筒之男命。

此三柱綿津見神者、阿曇連等之祖神以伊都久神也。伊以下三字以音、下效此。故、阿曇連等者、其綿津見神之子、宇都志日金拆命之子孫也。宇都志三字、以音。其底筒之男命、中筒之男命、上筒之男命三柱神者、墨江之三前大神也。

於是、洗左御目時、所成神名、天照大御神。次洗右御目時、所成神名、月讀命。次洗御鼻時、所成神名、建速須佐之男命。須佐二字以音。

右件八十禍津日神以下、速須佐之男命以前、十四柱神者、因滌御身所生者也。

簡単な解説

禊祓(みそぎはらえ)

禊は神に仕える者が穢れたモノに触れた時に行う水浴による祓いの一種で、祓は一般人の罪や穢れを取り除くときに神に仕える者が行う行為ですから、もともとは別々のものです。

天皇が禊を行うと、国の穢れが祓われるという考え方があり、それが皇居で行われる大祓の神事です。

また、私たちが神社に参拝する折に、手水舎で手口を漱ぐ行為も、禊祓の簡易版と言えるでしょう。

阿波岐原

竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小門(をと)の阿波岐原(あはきのはら)。

ご祈祷を受けるとき、神主さんが読み上げる祝詞(のりと)の冒頭に出てくる、伊邪那岐が禊祓を行った場所です。

その候補地は全国各地に存在しますが、最も一般的なのが、宮崎のシーガイヤの近くにある江田神社境内。みそぎ池という池があり、ここがその場所だとされています。

しかし、黄泉平坂が出雲にあり、そこから帰ってきて、宮崎?って気もします。

私としては、これは特定の場所を指しているのではなく、今から特別重要な儀式を行って、特別重要な神々が登場する場所にふさわしい、特別神聖な場所を表現したら、こうなったのではないかと思ってます。

竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小門(をと)の阿波岐原(あはきのはら)。
つくしの(最果ての) ひむかの(西日の当たる) たちばなの(特別な果物がはえている) おとの(ちいさな港の) はわぎはら(粟がたくさん生えている場所)
  • 西日の当たる最果ては、極楽浄土に一番近い特別な場所。
  • 橘は、常世国に生える特別な木の実と思われていた。
  • 粟は、稲作が伝わる前の日本人の主食。

ちいさな港以外は、どれも特別な感じでしょ。

穢れが神に?

八十禍津日神と大禍津日神は、穢れそのものが神となりました。穢れを司るということで、逆に穢れを避けることもできると解釈して、祀られることもありますが、

大抵は、その直後に現れた、穢れによって引き起こされる災厄を直す神である神直毗神、大直毗神、伊豆能賣神と合わせて祀られるようです。

綿津見神三神

この三柱の綿津見神は、伊邪那岐と伊邪那美の神生みで生まれた大綿津見神とは別の神です。ややこしいです。

綿津見三神を祀る志賀海神社の宮司さんは、本文に記されている通り、今も阿曇連の末裔が務められています。

住吉三神

全国の住吉神社の祭神で、14代仲哀天皇、神功皇后あたりでかなり濃密に登場します。覚えておいて下さい。

三貴神

月読命以外は、これからどんどん登場しますので、説明は控えておきましょう。

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