大国主神③|根の国と須世理比売

2019年9月4日

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須勢理比売との出会い

現代語

そこで、言われた通りに須佐之男大神の所にやって来ると、その娘の須勢理比賣(スセリビメ)が出てきました。

二人は一目見て恋に落ち、すぐに交ぐわいました。

そして父の須佐之男大神に

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父上。とても立派な神が来られましたよ。

と申し上げました。大神が大穴牟遅神を一瞥して、

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ふんっ。こいつは、葦原色許男(アシハラシコヲ)だ。

と言い、屋敷に呼び入れて蛇の部屋で寝かせました。

この蛇の部屋にはたくさんの毒蛇がいるのです。噛まれると命はないでしょう。

妻の須勢理比賣は、蛇比禮(へびのひれ)を夫に与えて、

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もし、蛇が噛もうとしたら、この比禮(ひれ)を三度振って打ち払ってくださいな。

と申し上げました。

教えられた通りにすると、蛇は自然とおとなしくなり、ゆっくり眠ることができました。

 

次の日の夜は、ムカデと蜂の部屋に入れられました。

須勢理比賣は、今度は、ムカデと蜂の比禮を夫に与えて、同じようにお教えられたので、大穴牟遅神は穏やかに一夜を過ごすことができました。

原本

故、隨詔命而、參到須佐之男命之御所者、其女須勢理毘賣出見、爲目合而、相婚、還入、白其父言「甚麗神來。」爾其大神出見而、告「此者、謂之葦原色許男。」卽喚入而、令寢其蛇室。於是其妻須勢理毘賣命、以蛇比禮二字以音授其夫云「其蛇將咋、以此比禮三擧打撥。」故、如教者、蛇自靜、故平寢出之。

亦來日夜者、入吳公與蜂室、且授吳公蜂之比禮、教如先、故平出之。

簡単な解説

「交わう」について

二人は「ひとめぼれ」して、すぐに「まぐわい」ました。古代の人々の性に対する考え方って、今よりもおおらかだったのね~と思ったりしますが、

今と違って古代には、病院も薬もありません。伊邪那美命のように、出産で死んでしまうこともしばしば。蛭子や淡嶋のような不幸な赤ちゃんも多かったでしょう。

また、農業にしても狩りにしても、人手は多ければ多い方がよかったに違いありません。だから、健康な男女であれば、兄弟でも、あるいは親子でも、子供を作ったんだと思います。

まぐわって出産することは、一族の死活問題だったのです。

比禮

大穴牟遅神は妻から蛇比禮と蜂比禮を受け取りました。

この比禮とは、辞書で調べると「古代の女性が用いた両肩からかける布。」とありますので、古代のストールのようなものでしょう。

でもただのストールではなく、魔法のストールです。

さて、先代旧事本紀によると、饒速日尊が天下る時、天神御祖から授かった魔法の品々「十種神宝」の中にも「蜂比禮」「蛇比禮」が含まれています。

さあ、大国主神の比禮と饒速日尊の比禮は、何か関係があるのでしょうか。謎です。

試練の連続

現代語

次の日は、もっと大変です。

大神が鳴鏑を野原に射込み、大穴牟遅神にその矢を拾いに行かせました。そして、大穴牟遅神が野に入った時に、火をつけて野を焼き払います。

大火に囲まれた大穴牟遅神。逃げ出す場所がなくなり絶体絶命のピンチです。

すると、そこに鼠がやってきて、地面を指さし、「うちは ほらほら そとは すぶすぶ」というので、言われた場所を踏んでみると、落とし穴がありました。

そして、その穴の中に隠れている間に火は収まりました。そして、なんと、鼠が鳴鏑を持って来てくれてます。矢の羽は鼠の子がすべてかじっていましたが。。。

さて、焼かれて火の海となった野原を見た須勢理比賣は、夫の命はないだろうと諦め、葬式の道具を持って泣きながら野にやってきました。

父の大神も大穴牟遅神が既に死んだと思って、野に来てみると、、、

大穴牟遅神がニコニコ笑いながら近づいてくるではないですか。

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なんて運のいいやつなのだ。。。ひょっとすると。。。

大神は、そう思いながら屋敷に連れ帰り大広間に案内して、大神の頭の虱(しらみ)を取らせました。

大穴牟遅神が大神の頭を見ると、ムカデがたくさんうごめいています。

妻は、ムクの木の実と赤土を夫に与えます。

大穴牟遅神がムクの木の実をブチっ鳴らして噛み砕き、赤土を口に含んでは唾とともに吐き出しました。

その赤い唾を見た大神は、てっきり大穴牟遅神がムカデを噛み砕いて吐き出したものだと勘違いし、

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こやつ、なかなかやりよるのう~

と思って、そのうち寝てしまいました。

原本

亦鳴鏑射入大野之中、令採其矢、故入其野時、卽以火廻燒其野、於是不知所出之間、鼠來云「內者富良富良此四字以音、外者須夫須夫此四字以音」如此言故、蹈其處者、落隱入之間、火者燒過。爾其鼠、咋持其鳴鏑出來而奉也、其矢羽者、其鼠子等皆喫也。

於是、其妻須世理毘賣者、持喪具而哭來、其父大神者、思已死訖、出立其野。爾持其矢以奉之時、率入家而、喚入八田間大室而、令取其頭之虱、故爾見其頭者、吳公多在。於是其妻、取牟久木實與赤土、授其夫、故咋破其木實、含赤土唾出者、其大神、以爲咋破吳公唾出而、於心思愛而寢。

簡単な解説

須佐之男命からの嫌がらせに対して、蛇の部屋の場面とムカデと蜂の部屋の場面では、妻の須世理比売命が魔法の比禮を渡し、その使い方も説明し、その通りすることで助かりました。

草原で焼かれた時は、ネズミが助けてくれました。身内以外の協力者が現れたのです。

ムカデ取りでは、ムクの実と赤土の使い方を瞬時に理解して、「敵をあざむく」という考え方を覚えました。

そして、次は、、、

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