伊邪那岐と伊邪那美⑩|三貴神と三分統治。言依と事依の違い。

2019年9月4日

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三分割統治

現代語

さあ、この三柱の御子を得た伊邪那岐命は、大層喜びました。

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私は今まで多くの子を生んできたが、最後の最後に三人の貴い子を得たぞ!

そして、首飾りの玉を音がするほど揺らしながら、それを天照大御神に授けて、

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お前は高天原を治めなさい。

任命されました。ちなみに、その首飾りの玉の名を御倉板擧之神(ミクラタナの神)といいます。

次に月讀命に

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お前は夜之食國(よるのをすくに)を治めるがよい。

任命され、

次に建速須佐之男命に、

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お前は海原を治めるのだぞ。

任命されました。

それぞれ、父の仰せ命令に従って治めていたと思っていましたが、速須佐之男命だけは命じられた国を治めずに、八拳須(やつかのひげ)が胸元に届くぐらいに伸びるほどの長い間、ずっと泣きわめいていました。

その泣き叫ぶ声で、青く茂る山は枯山になり、河や海はことごとく干上がってしまいました。こんな有様なので、悪い神の声が騒々しいハエのようにいっぱいになり、あらゆる災いが相次いで起こったのです。

そこで、伊邪那岐命の大神は速須佐之男命に尋ねにました。

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どうしてお前は命じた国を治めずに、泣きわめいているのだ?
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私は母上がいらっしゃる根之堅州國(ねのかたすくに)に行きたい思って泣いているのです。

と答えました。

伊邪那岐命の大神の怒りは凄まじく、

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ならば、おまえはこの国に住んではならない!

と仰せられて、すぐに速須佐之男命を追い払ってしまいました。

 

このあと、伊邪那岐命の大神は淡路の多賀の社にお鎮まりになり、これにて、伊邪那岐命と伊邪那美命の時代は終わりを告げました。

原本

此時伊邪那伎命、大歡喜詔「吾者生生子而、於生終得三貴子。」卽其御頸珠之玉緖母由良邇此四字以音、下效此取由良迦志而、賜天照大御神而詔之「汝命者、所知高天原矣。」事依而賜也、故其御頸珠名、謂御倉板擧之神。訓板擧云多那。次詔月讀命「汝命者、所知夜之食國矣。」事依也。訓食云袁須。次詔建速須佐之男命「汝命者、所知海原矣。」事依也。

故、各隨依賜之命、所知看之中、速須佐之男命、不知所命之國而、八拳須至于心前、啼伊佐知伎也。自伊下四字以音。下效此。其泣狀者、青山如枯山泣枯、河海者悉泣乾。是以惡神之音、如狹蠅皆滿、萬物之妖悉發。故、伊邪那岐大御神、詔速須佐之男命「何由以、汝不治所事依之國而、哭伊佐知流。」爾答白「僕者欲罷妣國根之堅洲國、故哭。」爾伊邪那岐大御神大忿怒詔「然者、汝不可住此國。」乃神夜良比爾夜良比賜也。自夜以下七字以音。故、其伊邪那岐大神者、坐淡海之多賀也。

簡単な解説

夜之食国(よるのおすくに)

天照大御神の天(日)に対して、月読命は夜(月)の統治を任命されたということは間違いないでしょう。

ここで気になるのは、食す(おす)という言葉ですが、これは統治するという意味のようです。

古代より、支配者はその土地の神とともに、その土地の食べ物を食べる。それが統治者の証しとなったらしいですよ。

事依

ここで私は、「事依」「任命」と訳しました。

オノゴロ島の段では、天神たちが伊邪那岐と伊邪那美に「作り固めなせ」と言依さしました。これは「委任」と訳しました。

この訳が正しいかどうかわかりませんが、この二つには何か違いがあると思ったからです。

言依のときは、神代七代の神々が集まって協議した結果、伊邪那岐と伊邪那美を代表者として派遣しました。だから委任です。

今回は、命令です。「俺が兄神達から、代表として任された仕事なんだから、お前ら、かたがた、頼むぞ!」というイメージです。

だからこそ、その命令をに背いた須佐之男に激怒したのでしょう。

神代七代の神々(天皇)三貴神(皇族)との間には、絶対的な格の違いがあるということを表現したかったのかもしれません。

また、統治を怠ると様々な厄災が起こることを教えています。これは天武天皇に代わって、後世の天皇への戒めを書き記したのでしょう。

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