大八嶋誕生
子をお生みになられるにおよんで、
先ず最初に、淡路洲(あはじのしま)が胞として生まれました。
しかし、それは不快なものでしたので、淡路洲と名付けました。
そしてようやく大日本豐秋津洲(おほやまと とよあきづしま)が生まれました。
次に伊予二名洲(いよのふたなのしま)をお生みになられ、
次に筑紫洲(つくしのしま)をお生みになられ、
次に億岐洲(おきのしま)と佐度洲(さどのしま)の双子をお生みになられました。
世の人に双子が生まれることがあるのは、このためです。
次に越洲(こしのしま)をお生みになられ、
次に大洲(おほしま)をお生みになられ、
次に吉備子洲(きびのこしま)をお生みになられました。
このように八つの嶋が生まれたので、大八洲國(おほやしまのくに)と呼ぶのです。
対馬嶋(つしま)・壱岐嶋(いきのしま)とあちこちの小嶋(をしま)は、みな潮の沫(あわ)が固まってできたものである。または、水の沫が固まってできたとも。
原文
及至産時、先以淡路洲爲胞、意所不快、故名之曰淡路洲。廼生大日本日本、此云耶麻騰。下皆效此豐秋津洲。次生伊豫二名洲。次生筑紫洲。次雙生億岐洲與佐度洲、世人或有雙生者象此也。次生越洲。次生大洲。次生吉備子洲。由是、始起大八洲國之號焉、卽對馬嶋壹岐嶋及處處小嶋、皆是潮沫凝成者矣、亦曰水沫凝而成也。
簡単な解説
淡路洲(あはじのしま)
初めに生まれたのが「あはじのしま」。胞(えな)として生まれたということは胎盤だったということでしょう。
だから「不快なもの」。そこで「吾恥の嶋」(あはじのしま)と名付けたということのようです。
ほんまかいな?と思いますが。
廼生
「廼」を「ようやく」と訳しました。中国語では「ようやく」「やっとこさ」という意味を持つようです。
胎盤が先に出てきて、おそらくは胎盤に繋がって、ようやく「大日本豐秋津洲」=「本州」が生まれたのでしょう。
「廼」を使って、やっとこさ、待ちに待った、本格的な国が生まれたという感覚を表現したものと推察します。
- 大日本豐秋津洲・・・本州です。
- 伊予二名洲・・・四国です。
- 筑紫洲・・・九州です。
- 億岐洲(おきのしま)・・・隠岐の島でしょう。
- 佐度洲・・・佐渡島でしょう。
- 越洲・・・北陸のことを指すのでしょうが、何故に島?
- 大洲・・・周防大島。屋代島です。
- 吉備子洲・・・岡山県の児嶋半島です。昔は島でした。
越洲
となると、この越洲に違和感を感じますよね。本州の中にありながら越洲。まるで別の島として存在していたかのようです、
もしかして、古代では北陸は本州とつながってなかった?
いえ、これは、北陸地方は大和朝廷から見た時、非常に独立性の高い地方だったということのようです。
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