日本書紀|第二十三代 顕宗天皇⑦|雄略天皇の御陵を破壊するかしないか!

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雄略天皇の御陵を破壊したい!

顕宗2年 丙寅(ひのえのとら) 486

・三月三日 後苑みそのにお出ましになり、曲水宴を開かれました。

この時、公卿大夫まへつきみたち・臣・連・國造・伴造を招待して、宴会をされました。群臣らは何度も喜びを申し上げました。

八月一日 天皇は兄の皇太子億計おけ王に

「我が父の先王は、罪なくして雄略天皇に射殺され、屍を野良に捨てられ、今だにはっきりとしない。憤りと嘆きが心の中にある。臥しては泣き、行きては嘆き、雪辱を晴らしたいと思う。

『父の仇とは共に天を戴かず、兄弟の仇には武器を取りに帰ることはなく、友の仇とは国を同じくしない』

と聞いたことがある。

匹夫ひっぷの子でも、父母の仇がおれば、とま に寝て、盾を枕にして、仕えず、国を共にせず、いつどこで出会っても、武器を取りに帰ることなく戦う。

ましてや、私は天子となって二年だ。願わくば雄略天皇の墓を壊し、遺骨を砕いて投げ散らしたい。今、これをもって報復とせずば、何が親孝行というのだろうか」

と尋ねました。

 原 文

二年春三月上巳、幸後苑曲水宴。是時、喜集公卿大夫・臣連國造伴造、爲宴、群臣頻稱萬歲。

秋八月己未朔、天皇、謂皇太子億計曰「吾父先王、無罪而大泊瀬天皇射殺、棄骨郊野、至今未獲。憤歎盈懷、臥泣行號、志雪讎恥。

吾聞、父之讎不與共戴天、兄弟之讎不反兵、交遊之讎不同國。夫匹夫之子、居父母之讎、寢苫枕干不仕、不與共國、遇諸市朝、不反兵而便鬪。

況吾立爲天子二年于今矣、願壞其陵摧骨投散。今以此報、不亦孝乎。」

 

 

破壊してはいけない理由

兄の皇太子億計皇子は、余りの悲しさにお答えすることができななった。

しかし、諫めるように、

「だめです。雄略天皇は万機を正しく統率し、天下を臨み照らしました。中央の人も異民族の人も、喜び仰いだのは天皇の身です。

我らの父は履中天皇の子ではありますが、苦難にあって皇位には登ることができませんでした。これを見れば、尊卑の違いは明らかです。

もし、天皇の陵墓を壊してしまえば、誰を君として、天の霊に仕えたらよいのでしょうか。

これが御陵を壊してはいけない第一の理由です。

また、天皇と億計は、清寧天皇の篤い寵愛と深い恩により、宝や位を臨むことができているのですよ。そして雄略天皇は、その清寧天皇の父君です。

私が老賢から聞いたところでは、

『何も言わなければ応えも無し、徳が無ければ報いもなし。恩を受けても報いなければ、人心を破ったことになる』

ということです。

陛下が国を治められて、その徳は広く民に聞こえています。もし、陵を壊し、それを華裔の人々が見れば。

億計が恐れていることは、国を治め、民を導くことができなくなるということなんです。

これが御陵を壊してはならない第二の理由です」

と諌められました。

天皇は

「よきかな」

と言って、

そのえきをやめさせました。

 原 文

皇太子億計、歔欷不能答、乃諫曰「不可。大泊瀬天皇、正統萬機、臨照天下。華夷欣仰、天皇之身也、吾父先王、雖是天皇之子、邁遇迍邅、不登天位。以此觀之、尊卑惟別、而忍壞陵墓、誰人主以奉天之靈。其不可毀、一也。

又天皇與億計、曾不蒙遇白髮天皇厚寵殊恩、豈臨寶位、大泊瀬天皇、白髮天皇之父也。億計聞諸老賢、老賢曰『言無不詶、德無不報、有恩不報、敗俗之深者也。』陛下饗國、德行廣聞於天下、而毀陵、翻見於華裔、億計恐、其不可以莅國子民也。其不可毀、二也。」

天皇曰「善哉。」令罷役。

置目が近江に還る

九月 置目が年を取ったので、国に帰りたいと願いでて、

「気も体も衰えました。縄の助けがあったとしても、もう歩くこともできなくなりました。願わくば故郷に帰り一生を終わりたいのです」

と申し上げました。

天皇は、これを聞かれ大変悲しまれましたが、置目に沢山の物を贈られ、別れの悲しみともう会えないことを嘆いて詠まれました歌。

おきめもよ あふみのおきめ あすよりは みやまがくりて みえずかもあらむ

置目もよ 近江の置目 明日よりは み山隠りて 見えずかもあらむ

置目よ、近江の国置目よ。明日からは山に隠れて、見えなくなってしまうのだろう

十月六日 群臣と宴会をされました。

この時、天下は太平で、民には労役がなく、穀物は豊作で、民は裕福でした。 ひとさか で銀銭一文で、馬は野を覆うほどでした。

九月、置目老困、乞還曰「氣力衰邁、老耄虛羸、要假扶繩、不能進步。願歸桑梓、以送厥終。」天皇聞帵痛、賜物千段、逆傷岐路、重感難期、乃賜歌曰、

於岐毎慕與 阿甫瀰能於岐毎 阿須用利簸 瀰野磨我倶利底 彌曳孺哿謨阿羅牟

冬十月戊午朔癸亥、宴群臣、是時、天下安平、民無徭役、歲比登稔、百姓殷富。稻斛銀錢一文、馬被野。

ひとことメモ

特にございません。

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