日本書紀|第二十一代 雄略天皇⑦|斎宮「栲幡皇女」の妊娠疑惑浮上!

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天皇の御気に入りは二人だけ

この月、史戸ふみひとべ河上舍人部かはかみのとねりべを置かれました。

天皇は誰に相談することもなく自分の心のままに、間違って人を殺すことが多かったので、世の人は、「大悪の天皇だ」と誹謗しました。

唯一、可愛がられた臣下は、史部ふみひとべ身狭村主靑むさのすくり あお檜隈民使博徳ひのくまのたみのつかい はかとこらだけでした。

 原 文

是月 置史戸・河上舍人部 天皇 以心爲師 誤殺人衆 天下誹謗言「太惡天皇也 」唯所愛寵 史部身狹村主靑・檜隈民使博德等

 ひとことメモ

史部ふみひとべ

史部ふみとべ は、古代日本において文書や記録の作成など文筆をもって奉仕した氏族です。

中国や朝鮮半島からの渡来人系で70氏余りいたようです。これらの史部を統率したのが、応神天皇のときに渡来したという王仁わに の子孫 西史部かわちのふひとべ と阿知使主あちのおみ   の子孫 東史部やまとのふひとべ  の東西史部でした。

身狭村主靑むさのすくり あおは、東漢氏やまとのあやうじの配下すなわち東史部やまとのふひとべの出身です。

檜隈民使博徳ひのくまのたみのつかい はかとこはも、同じく東漢氏やまとのあやうじの配下です。

革新派?

雄略天皇は、葛城氏を滅亡させて政治を刷新させたり、釆女を妃に引き上げたり、新しく宍人部ししとべを設置したり、皇太后に跪礼きれいしたり、渡来系氏族を重用したり、、、

今までの天皇とはちょっと違う、まるで織田信長のような人のように思えてきました。

そうすると、今まで殺してきた人々も、国家の変革のために殺す必要があったからだったのかもしれないと思ったりします。

 

斎宮 栲幡皇女たくはたのひめみこ の悲劇

雄略3年 己亥つちのとのゐ 459

四月 阿閉臣国見あへのおみ くにみ 亦の名は磯特牛しことひといいます が、栲幡皇女たくはたのひめみこ湯人ゆゑ廬城部連武彥いほきべのむらじ たけひこを讒言して、

武彦たけひこ栲幡皇女たくはたのひめみこおかして、身ごもらせました」

と訴えました。

武彦の父の枳莒喩きこゆは、そのことを聞き、災いが身に及ぶのを恐れて、子の武彦を廬城河いほきのかはに誘い出し、鵜飼漁うかひの真似ごとをして水に潜って魚を捕らえたり、そして不意をついて殺しました。

天皇は、このことをお聞きになり、使いを皇女に遣わせて、質問させた。

皇女は

「私は知りません」

とお答えられました。

しかし、皇女は急に神鏡を捧げ持って五十鈴河のほとりに行き、誰も行かないところを伺って、鏡を埋めて首をくくって自死されました。

天皇は、皇女がおられないのを疑って、闇夜を四方八方探させました。すると河の畔に、蛇のような虹が架かっていました。長さが四・五つえ ほどの虹です。

その虹の出ている所を掘ると神鏡が出てきました。さらに、そこからそう遠くないところに皇女の遺体もありました。

皇女のお腹を割いてみると、お腹の中には水のようなものがあり、水の中には石がありました。

このことで、枳莒喩きこゆは、自分の子が無実であったことがわかりました。そして、子を殺したことを後悔しました。その報復として国見を殺そうとしましたが、国見は石上神宮いそのかみのかみのみやに逃げ隠れました。

 原 文

三年夏四月 阿閉臣國見 更名磯特牛 譖幡皇女與湯人廬城部連武彥曰「武彥 姧皇女而使任身 」湯人 此云臾衞 武彥之父枳莒喩 聞此流言 恐禍及身 誘率武彥於廬城河 偽使鸕鷀沒水捕魚 因其不意而打殺之

天皇聞 遣使者案問皇女 皇女對言「妾不識也 」俄而皇女 齎持神鏡 詣於五十鈴河上 伺人不行 埋鏡經死 天皇 疑皇女不在 恆使闇夜東西求覓 乃於河上虹見如蛇四五丈者 掘虹起處而獲神鏡 移行未遠 得皇女屍 割而觀之 腹中有物 如水 水中有石 枳莒喩 由斯 得雪子罪 還悔殺子 報殺國見 逃匿石上神宮

 ひとことメモ

栲幡皇女たくはたのひめみこ

栲幡皇女たくはたのひめみこは、雄略天皇と葛城韓媛との間に生まれた伊勢の斎宮です。

伊勢の斎宮は、天照大御神に仕える巫女で、代々天皇の娘が任命されました。もちろん処女でないといけません。

そんな穢れの許されない斎宮が、湯人の武彥に犯されて妊娠しなんて、とんでもない大事件です。

そんな大事件をしでかした息子を殺した父親の気持ちもわからなくはないです。

お腹を割ったら石が、、、

栲幡皇女たくはたのひめみこは、「知りません」と否定しながらも、自殺しました。神鏡を埋めて。そして、遺体のお腹の中から、水と石が出てきたといいます。だから無実が証明されたといいますが、、、

ここからは、私の想像です。

これは想像妊娠。でも本人は妊娠したと思っていたことでしょう。本当は、二人は通じていたのではないでしょうか。そうです。何度も愛し合ったのです。

しかし、その相手は死んでしまい、自分は嘘をついた。でも、自分は妊娠していると思っているから、いつかはバレてしまうと思った。その罪の重さに耐えかねて、自ら死ぬことを選んだ。神鏡を埋めて。鏡は真実を映すから、、、

考えすぎかな?

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