第四段 一書(2)~(10)|エロティックな内容多し!

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第四段一書 その2

ある書では、このように伝えられています。

伊弉諾尊と伊弉冉尊との二神は、天霧(あめのさぎり)の中にお立ちになり、

「国が欲しい!」

とおっしゃて、天瓊矛を刺し入れて探すと、磤馭慮嶋(おのごろしま)を見つけました。

矛を抜いて喜び、

「ああ善かった。国があったぞ!」

とおっしゃいました。

原文

一書曰、伊弉諾尊・伊弉冉尊二神、立于天霧之中曰「吾欲得國。」乃以天瓊矛、指垂而探之、得磤馭慮嶋。則拔矛而喜之曰「善乎、國之在矣。」

 

第四段一書 その3

ある書では、このように伝えられています。

伊弉諾と伊弉冉の二神は、高天原におられて

「きっと国があるだろう」

とおっしゃって、天瓊矛でかき回すと、磤馭慮嶋(おのごろしま)が出来ました。

原文

一書曰、伊弉諾・伊弉冉二神、坐于高天原曰「當有國耶。」乃以天瓊矛、畫成磤馭慮嶋。

 

第四段一書 その4

ある書では、このように伝えられています。

伊弉諾と伊弉冉の二神は、相談されて、

「水の上の膏(あぶら)のように浮いているものがある。その中に国があるだろう」

とおっしゃって、天瓊矛で一嶋を探りだされました。名を磤馭慮嶋といいます。

原文

一書曰、伊弉諾・伊弉冉二神、相謂曰「有物若浮膏、其中蓋有國乎。」乃以天瓊矛、探成一嶋、名曰磤馭慮嶋。

その2~4の簡単な解説

一書その2~4は、第四段本文の「オノゴロ島生成」に関する異伝を集約しています。

しかし、「二神で、下に国があることを予見して、天瓊矛を使って、島を見つけた(作った)、その名はおのごろ嶋」という基本路線は同じです。

伊弉諾と伊弉冉

この時点では「交ぐわい」の前ですから、「陽神・陰神」ではなく「伊弉諾・伊弉冉」です。

国が欲しい!

これは、呪文のような感じでしょうか。「開けゴマ!」みたいな感じで「国よ、あれ!」みたいな。

そして天瓊矛でかき回すと国が見つかったり、国が出来たり。

天瓊矛

ですから、天瓊矛はハリーポッターの「魔法の杖」みたいなもんだと思います。

一方、

天瓊矛の「瓊」は「玉」。「玉のついた矛(長い棒)」すなわち「男根」をイメージしているのでは?

という説もあります。

それでもって、差し入れて、かき回して、引き抜いたら、おのごろ嶋が生まれた、、、と。

実にエロティックではありませんか。

高天原

また、チョロンと一書のひとつにだけ「高天原」が登場しました。

読者に少しづつ少しづつ「高天原が我国の中心なんだ、高天原の神々が特別尊いんだ、だから天皇は、、、」という意識を植え付けていっているように思えます。

 

第四段一書 その5

ある書では、このように伝えられています。

陰神が先ず

「なんと良き男でしょう」

とおっしゃいました。

その時、陰神が先に声を掛けるのは良くないこととして、もう一度改めて廻りました。

そして、今度は陽神が先に

「なんと良き乙女なのだ」

とおっしゃいました。

そして遂に、合交(みあはせ、まぐはひ)しようとされましたが、その方法が判りませんでした。

その時、鶺鴒(セキレイ)が飛んできて、首と尾を振り動かしました。

二神はこれをご覧になり、交道(とつぎのみち、まぐはひのみち)を理解されました。

原文

一書曰、陰神先唱曰「美哉、善少男。」時以陰神先言故爲不祥、更復改巡、則陽神先唱曰「美哉、善少女。」遂將合交而不知其術、時有鶺鴒、飛來搖其首尾、二神見而學之、卽得交道。

簡単な解説

この一書は、第四段本文の「初めての交ぐわい」を補強する内容となっています。

誰もしたことのないことなのに、そのやり方をどのようにして知り得たんだ?なんていう疑問も持つ人が、読者の中にはいるかもしれない、、、という編纂者の気配りか、、、

鶺鴒(セキレイ)

スズメよりもひと回り大きな小型の鳥で、長い尾羽が特徴。その尾を上下に振る仕草は、道を叩いているかのようです。

そのヒョコヒョコと尾羽を振る様子は、見ようによっては、男女の交ぐわいの時の男の腰の動きに見えなくもないです。

そして、鳥は天から降りてくる神の使いですから、伊弉諾と伊弉冉は、これを見て、天神が交ぐわいの方法を教えてくれたと思ったわけですね。

こちらも、なかなかエロティックな内容でしたね。

第四段一書 その6

ある書では、このように伝えられています。

二神は合(まぐはい)して夫婦となり、先ず淡路洲(あはぢのしま)と淡洲(あはのしま)を胞として、大日本豐秋津洲をお生みになられました。

次に伊予洲。次に筑紫洲。次に億岐洲と佐度洲とを双子としてお生みになられました。次に越洲。次に大洲。次に子洲(こしま)をお生みにならましれた。

原文

一書曰、二神合爲夫婦、先以淡路洲・淡洲爲胞、生大日本豐秋津洲。次伊豫洲、次筑紫洲、次雙生億岐洲與佐度洲、次越洲、次大洲、次子洲。

 

第四段一書 その7

ある書では、このように伝えられています。

先づ淡路洲をお生みになられました。次に大日本豐秋津洲。次に伊予二名洲。次に億岐洲。次に佐度洲。次に筑紫洲。次に壱岐洲(いきのしま)。次に対馬洲(つしま)をお生みになられました。

原文

一書曰、先生淡路洲、次大日本豐秋津洲、次伊豫二名洲、次億岐洲、次佐度洲、次筑紫洲、次壹岐洲、次對馬洲。

 

第四段一書 その8

ある書では、このように伝えられています。

磤馭慮嶋を胞として、淡路洲をお生みになられました。

次に大日本豐秋津洲。次に伊予二名洲。次に筑紫洲。次に吉備子洲。次に億岐洲と佐度洲とを双子としてをお生みになられました。次に越洲をお生みになられました。

原文

一書曰、以磤馭慮嶋爲胞、生淡路洲。次大日本豐秋津洲、次伊豫二名洲、次筑紫洲、次吉備子洲、次雙生億岐洲與佐度洲、次越洲。

 

第四段一書 その9

ある書では、このように伝えられています。

淡路洲を胞とし、大日本豐秋津洲をお生みになられました。次に淡洲(あはのしま)。次に伊予二名洲。次に億岐三子洲。次に佐度洲。次に筑紫洲。次に吉備子洲。次に大洲をお生みになられました。

原文

一書曰、以淡路洲爲胞、生大日本豐秋津洲。次淡洲、次伊豫二名洲、次億岐三子洲、次佐度洲、次筑紫洲、次吉備子洲、次大洲。

(6)~(9)の簡単な解説

一書その6~9は、第四段本文の「大八嶋誕生」に関する異伝を集約しています。

生まれる嶋や順番が微妙に違うようです。

前半部は、いずれも大差ないと見えます。四国のあと、九州に行く流れと、隠岐の島へ行く流れに分かれるようです。

本文:
淡路洲(胞)大日本豐秋津洲→
伊予二名洲筑紫洲→億岐洲佐度洲→越洲→大洲→吉備子洲

その6:
淡路洲・淡洲(胞)大日本豐秋津洲→伊予洲
→筑紫洲→億岐洲・佐度洲→越洲→大洲→子洲

その7:
淡路洲→大日本豐秋津洲→伊予二名洲
→億岐洲→佐度洲→筑紫洲→壱岐洲→対馬洲

その8:
淡路洲→
大日本豐秋津洲→伊予二名洲→筑紫洲→吉備子洲→億岐洲・佐度洲→越洲

その9:
淡路洲(胞)大日本豐秋津洲→淡洲→伊予二名洲
→億岐三子洲→佐度洲→筑紫洲→吉備子洲→大洲

 

第四段一書 その10

ある書では、このように伝えられています。

陰神が先ず「なんと良き男でしょう」とおっしゃられ、陽神の手を取って、夫婦となり、淡路洲をお生みになりました。次に蛭兒(ひるこ)をお生みになられました。

原文

一書曰、陰神先唱曰「姸哉、可愛少男乎。」便握陽神之手、遂爲夫婦、生淡路洲、次蛭兒。

簡単な解説

第四段の一書は、

  • (1)は、全体通しての異伝
  • (2)~(4)は「おおごろ嶋」
  • (5)は「交ぐわい」
  • (6)~(9)は「大八嶋」

というふうにグルーピングされてきました。

ところが、(10)だけが特異です。また「交ぐわい」に戻ってます。

一書の最後は、次への布石。

そういう意味で、私は、この一書に、2つの目的を感じました。

「神生み」への前振り

この後、森羅万象に宿る神々を生んでいくことになります。

「大八嶋の誕生」で、若干希薄になった陰と陽の交わり、すなわち、「神は夫婦の営みによって生まれる時代になったのよ~」という意識を、最後の最後に「蛭兒」を生ませることで読者に再認識させる意味合いがあるのだと思います。

「蛭兒」は「洲」ではなく「子」ですから、、、
(西宮神社の主祭神で、エビス神として祀られています。)

陰と陽の不調和の結果、、、

伊弉冉は、先に声を掛けるだけでなく、伊弉諾の手を取って夫婦となりました。女が男を能動的かつ積極的に誘って合体したということを「手を取って」で強調しています。

陰陽思想において、この行為は陰と陽の役割分担にそぐわない作用です。このように、陰と陽のバランスが取れていない状態で夫婦となると、、、

次段の「出来の良くない子」「黄泉国の段」への布石が、ここで打たれているのではないかと思うわけです。

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