見事、元の世界へ
この騒ぎを聞かれた天照大御神は怪しみ、天之石屋戸を少しだけ開けて、
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わらわが隠れているがゆえに天原(あまのはら)も葦原中国も全て真っ暗なはずなのに、、、
どうしてウヅメは楽しそうに踊り、八百萬の神達は皆笑っているのかや?



あなた様にも勝る貴い神がいらっしゃいましたので、喜び笑って踊っているのです
と答えると同時に、天兒屋命と布刀玉命が、鏡を天照大御神に見せました。すると、天照大御神はますます不思議に思い、ゆっくりと石屋戸から出てこられました。
時まさに今。隠れていた天之手力男命がその天照大御神の手を取って引っ張りだし、布刀玉命が注連を後ろに引き張って、
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大御神様。もうこれより中にはお戻りになってはなりませんぞよ
と申し上げました。
このようにして、天照大御神が外に出られたので、高天原も葦原中國もおのずと明るくなりました。
さて、一件落着しましたので、速須佐之男命を裁くことになりました。
八百萬神は相談し、速須佐之男命に多くの贖罪の品物を出させ、速須佐之男命の鬚(ひげ)を切り、手足の爪を抜いて、高天原から追放しました。
食物の神「大氣都比賣神」
現代語
追放された速須佐之男命は根の国へと向かうのですが、すべてを没収されてしまったために食べるものもなく、困り果てていました。
そこで食べ物を司る神の大氣都比賣神(オホゲツヒメの神)に救いを求めました。
大氣都比賣神は、快く、鼻や口や尻からいろんな食べ物を取り出しては、様々に調理して速須佐之男命に差し上げました。
その様子を覗き見していた速須佐之男命は、穢いものを食べさせようといしていると思い、なんと大氣都比賣神を殺してしまったのです。
しかし、殺された大氣都比賣神の体から生まれた食物がありました。
頭には蚕(かいこ)が生まれ、二つの目には稲の種が生まれ、二つの耳には粟が生まれ、鼻には小豆が生まれ、陰部には麦が生まれ、尻には大豆が生まれました。
そこに、神産巣日神が現れて、これらを取って種としました。
死しても食の女神。あっぱれですね。
ひとことメモ
注連縄
始めて注連縄が使われたシーンが岩戸隠れです。ここは通れない、すなわち「結界」を意味します。
それが、神域と現世の境目としておかれたり、お祓いの意味で置かれたり、神の依代として置かれたりと、利用目的が広範囲になってきました。
天津罪
須佐之男命は高天原で多くの悪行を行いました。これらは神道における天津罪に抵触するものなのです。だから裁かれるのです。
天津罪を列記しますと、
- 畔放(あはなち)畔を壊すこと田の水を流してしまう行為。★
- 溝埋(みぞうめ)用水路として掘った溝を埋める行為。★
- 樋放(ひはなち)田に水を引くための水管を壊す行為。
- 頻播(しきまき)他の人が種を蒔いた所に重ねて種を蒔く行為。
- 串刺(くしさし)他人の田に串(杭)を刺して妨害する行為。
- 生剥(いきはぎ)生きている馬の皮を剥ぐ行為。★
- 逆剥(さかはぎ)馬の皮を尻の方から剥ぐ行為。★
- 糞戸(くそへ)祭場を糞などの汚物で汚す行為。★
星印は、古事記に記載されている罪です。
大氣都比賣神
大氣都比賣神は「大いなる食物の女神」という神名です。ゲツが食物を表します。
ウケ、ウカなども食物を表す言葉です。トヨウケビメとか、ウカノミマタとかですね。
古事記では、この大氣都比賣神は須佐之男命に殺されてしまいますが、日本書紀では、おなじように「汚い」と怒った月読命が保食神を殺すお話になっています。
そして、天照大御神が激怒して「あんたなんか顔も見たくない!」となり、それ以降、月と太陽は、夜と昼で顔を合わさなくなったというオチが付いています。
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