伊邪那岐と伊邪那美⑥|伊邪那岐、黄泉の国へ行く。

2019年11月14日

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黄泉の国へ

現代語

伊邪那岐命は、隠れてしまった妻の伊邪那美命にもう一度会いたいと思い、あとを追って黄泉国(よみのくに)まで行きました。

御殿の上げ戸の向こうにいるであろう伊邪那美命に伊邪那岐命が問いかけます。

 

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最愛の妻よ。私とお前とで多くの国や神を生んできたが、まだ終わっていないのだ。だから帰ろう。
Right Caption
それは残念なことをしました。来られるのが遅すぎましたよ。私はすでに黄泉の国の食べ物を食べてしまいました。だから、もうここからは出られないのです。
Right Caption
でも、愛しい夫がわざわざ来てくれたなんて、とてももったいないことですから、私も戻りたい気持ちでいっぱいです。
Right Caption
少しの間、黄泉神(ヨモツの神)と相談してきますので、その間、絶対に私を見に来ないでくださいね

伊邪那美命はそう言い残して、御殿に入っていきました。

しかし、待てど暮らせど、なかなか戻ってきません。とうとう、伊邪那岐命は待ちきれなくなってしまいました。

左の御美豆良(み みづら)に挿してある湯津津間櫛(ゆつつまぐし)の太い歯を一本折り取り、一本火を燈して灯りとし、黄泉の御殿の中に入ってしまいました。

すると、

なんと、伊邪那美命の体には蛆が湧いていて、その蛆が大きな声で鳴いているではありませんか。

さらに、

  • 頭には大雷(オホイカヅチ)が
  • 胸には火雷(ホノイカヅチ)が
  • 腹には黒雷(クロイカヅチ)が
  • 女陰には拆雷(サキイカヅチ)が
  • 左手には若雷(ワカイカヅチ)が
  • 右手には土雷(ツチイカヅチ)が
  • 左足には鳴雷(ナリイカヅチ)が
  • 右足には伏雷(フシイカヅチ)が

伊邪那美命の体には、合わせて八柱の雷神(イカヅチの神)が出現していました。

原文

於是、欲相見其妹伊邪那美命、追往黃泉國。爾自殿騰戸出向之時、伊邪那岐命語詔之「愛我那邇妹命、吾與汝所作之國、未作竟。故、可還。」爾伊邪那美命答白「悔哉、不速來、吾者爲黃泉戸喫。然、愛我那勢命那勢二字以音下效此入來坐之事恐。故、欲還、且與黃泉神相論。莫視我。」如此白而還入其殿內之間、甚久難待、故、刺左之御美豆良三字以音、下效此湯津津間櫛之男柱一箇取闕而、燭一火入見之時、宇士多加禮許呂呂岐弖此十字以音、於頭者大雷居、於胸者火雷居、於腹者黑雷居、於陰者拆雷居、於左手者若雷居、於右手者土雷居、於左足者鳴雷居、於右足者伏雷居、幷八雷神成居。

簡単な解説

黄泉の国

「黄泉」は、もともとは「地下の泉」という意味でした。それが転じて「死者の国」のことをいうようになったようです。

また、別の説では、「よみ」は「やま」が訛ったものだとします。黄泉の国には入り口があり、その入り口から坂道を上がっていくので、黄泉の国は山にある、もしくは山が黄泉だということです。

たしかに、山は、昼でも怖いです。

黄泉戸喫(よもつへぐい)

黄泉の国の食べ物を食べることを表しています。

死者の国の食べ物を食べると現世に戻れないという考え方は世界各地にあるようです。

ギリシャ神話では、ペルセポネが冥府の食べ物であるザクロを4粒食べたので、1年のうちの4ヶ月だけは死者の国で過ごすことになりました。

ザクロは死者の国の食べ物なんですね。。。

一つ火を灯す

古来「一つ火は不吉」という言い伝えがあります。

闇夜に蝋燭など1本だけつけて周囲を見ると、あの世のモノや見てはいけないものが見えてしまうという言い伝えです。

それは、この逸話から生まれました。

八雷神

伊邪那美の死体に雷神が8柱。加具土命の死体には山津見神が8柱。

8という数字は「多くの」というような意味を持つのですが、その現れている場所が同じなので、対になっていると思います。

母と子の深い繋がりを表したかったのでしょうか。

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